換気

ふらふらと、夜、住んでいる町を漂う癖がついた。

その時、自分が自分じゃないような気分になる。誰にもみられず誰とも喋らず誰の目も見ない、そして、誰も私を見ない。

私がその時、外にいることすらみんな知らない。

外の空気は気持ちがいい、部屋に戻ると、どんなに換気しても生活の匂いが大半を占めていて、何だか、全てをやめたくなる。

生活や人の匂いが嫌いだ。一時期匂いが嫌で、お風呂場で食事をしてた。

部屋の掃除もできなければ、食事も上手く取れない私の部屋に戻ると、兄が家に友人をたくさん呼んだ時の匂いを思い出す。帰りたい。場所なんてどこにもない。

私の生まれた場所はどこだろう。

街を漂ったまま消えてしまえれば楽なのに。